朝の4時半に小樽公園で始まった「超ウルトラキャノンボールラン2」。
舞台は小樽から札幌市の南東の果て清田区へと移ります。
で、うんざりするぐらいに長〜い清田区区間を走り抜け、北広島市の手前にある第二CP「美しが丘公園」に到着。
ここまで約51km。時刻は11時ちょっと前。
気温は25度近くに上っていましたが、湿度が50%ぐらいとカラッとしていたため、思ったよりも暑さは感じませんでした。
さて、美しが丘公園。
予告された通り、いらっしゃいましたよ。
スタッフさんと共に、あの方のお姿が!
イカ女チャーリーさんですっ!!!
さすがにイカの被りものは被っていませんでしたが、パワフルさは健在です。
故障中の私を気遣い、労りのお言葉をいただきましたが、当初の予想に反して私はまだまだ走れる状態です。
最悪ここでDNFかなあなどと思っていましたが、もちろんこんなところでやめる言い訳など微塵も浮かびません。
迷わずGo!です。
第二CPでの応援だけでも死ぬほどありがたかったのに、なんと「この先10kmぐらいのところで私設エイド作って待っている」とのこと。
どうして年に1回会うか会わないかぐらいの間柄の私に対して、こんなに親切なの?
もうおっさん、感激のあまりに涙がちょちょ切れそうだわ。
マラソンのエネルギーって、もちろん給水や補給食も重要なんだけど、それ以上に応援の持つ力は本当に大きいですね。
ここまで50km以上走っているのに、むしろスタート時よりもガソリン満タン状態になりました。
とりあえず50km先の苫小牧までは、このまま頑張りましょう!
美しが丘公園を過ぎると、すぐ北広島市に入ります。
大曲の集落を過ぎてから、商店や民家がなくなり、北海道らしい単調な一本道になってきますね。
この辺りは土地勘はあるのですが、普段なら車でパーっと通り過ぎる道。
車の運転しているときには気づかなかった、緩やかながらも長く続くアップダウンが、ボディーブローのように効いてきます。
ちょっとしんどいなあと思ったので、バス停の待合小屋で休憩し、補給をして一旦心身をリセットします。
こういう1分ぐらいの小休止が、長いウルトラでは意外といいリフレッシュになったりします。
とは言え、アップダウンに加え、昼になって気温が上がってきたこともあり、集中力が段々切れてきましたね。
しかし、辛いなあと思うのも永遠に続くことはない。
「これもまた過ぎ去るだろう」と思いながら、淡々と歩を進めていくのみです。
長丁場のウルトラでは、心の浮き沈みを抑えて、一定のリズムで走ることが何よりも重要です。
この「心のコントロール」が、フルマラソンでは味わえないウルトラの魅力なのかなあと、個人的には思っています。
心を無にして進んでいるところで、約63km地点の歩道脇に、トランクの開いた車が待っていました。
チャーリーさん私設エイドキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
でもって、「チャーリーエイド」には、もうずーっと先に行ってたのかなあと思ったタマ子さんもいらっしゃいました。
マラソン大会のエイドと言えば、バナナとかパンとか「甘い物」が多く、そういうものはすぐエネルギーになっていいのですが、そればっかり食ってると口の中が甘ったるくなって飽きてくるんですよねえ。
しかし、そこはそういう「ランナー心理」のわかっているチャーリーさん。
ミニトマトや漬物など、甘ったるくない、しょっぱい系の食べ物も用意してくださいました。
これで塩分補給もバッチリです。
いやぁ、ありがたやー、ありがたやー。
そして、「走りながら食べられるように」と、ラップに包んだ一口大の「おいなりさん」を2ついただき、更に極めつけはこれ!
「岩下の新生姜」
もう、これは今回の補給食でもダントツのMVPでした。
20gあたりで3kcalしかない新生姜のどこにエネルギーが潜んでいるのでしょうか?
シャキッとした甘辛さが、妙にパワー与えてくれるんだよなあ、これが。
マラソンの補給食というのは、栄養学的なカロリーだけでは測れない奥深さがある。
名残惜しいですが、5分ほど休憩して「チャーリエイド」から旅立ちます。
再出発するタマ子さんと私を見守る姿は、まるで妹と弟を送り出すかのような愛情に溢れていたよ。
もうこの段階で、根拠はないですが「苫小牧までは絶対に大丈夫!」と確信しましたね。
ウルトラマラソンでは、こうした応援によって得られる「根拠のない自信」が、何よりも自分を支えてくれるのです。
チャーリーさん、今回は本当にありがとうございました。
しばらく、清田区方面に足を向けては寝られません(笑)。
事前のブリーフィングでは「恵庭からはほぼ平坦」と言われていたので、もう大きな山場は越えたかなと。
ただ、この辺りから向かい風がキツくなってきたねえ。
まあ、でもこういうときは「涼しい風が吹いてきた。ラッキー!」とポジティブ変換機にかけて、自分の脳みそをごまかすことにしましょう。
恵庭市街地に入ってからは、信号待ちとかで適度に脚を休められてよかったですね。
70kmを過ぎた辺りから、だんだんバカになってきて、「おお、気持ちええ。このままどこまでも行けるんじゃないか?」と、そのままズンドコ千歳市内に入り、快調に進んでいったのであるが、ここでやらかしてしまいました。
第三CPである「千歳ママチ川公園」を通り過ぎてしまいました(´・ω・`)
「うーん、めんどくさい。このまま第三CPパスして苫小牧まで行ってもいいんじゃないか」とも思ったが、千歳市街抜けると、ウトナイ湖まで10km以上コンビニ空白地帯が続くんで、補給が取れなくなってしまう。
やはりここは一旦戻って、第三CPで補給しておくのが吉かなと。
運良く、コース上に75kmの参加者の方がいらっしゃいましたので、「コースロストしました。第三CPはどこですか?」と訪ねたら、「こっから1kmも離れてないですよ」と道を教えてくださり、いやぁ、ありがたや。ありがたや。
ホントこの日は、色んな人に助けられっぱなしの一日でした。
んで、遠回りしながらも14時半ぐらいに、第三CP「千歳ママチ川公園」到着。
ここまで約78km。
第二CPではまだ元気いっぱいの私でしたが、さすがにここまで来ると、少し「やられ表情」になってきてるな。
ここでは出発時に預けた荷物を受け取ることができ、何ならこのままDNFして、荷物持ってJRで苫小牧まで行くって選択肢もあるのだが、もうここまで来ると脚が痛いを通り越して完全にバカになって「もっと行ける」と語りかけてくるし、ウルトラ特有の胃腸障害もなく、固形物をおいしく食べることができたしということで、やめる言い訳がないんだなあ、これが。
んなわけで、ここでの決断も「Go!」。
でもって、今まで時間のことは完全に忘れていたのだが、このままのペースで行けば「13時間以内で100km」という、サロマ制限時間にも間に合うんじゃないかと欲も出てきたので、1ヶ月後のサロマのワッカを走るつもりで、国道36号線を更に南へと進んでいくのでありました。
あと、ハーフ一本で苫小牧。
太平洋まではもうすぐだ!
(つづく)