左脚故障中で、キロ6分で10kmも走れない状態だったため、大会一週間前はDNSすら視野に入れていた「超ウルトラキャノンボール2」の「150kmの部」。
いざ、蓋を開けてみたら、キロ7〜8分ぐらいのスローペースだと、意外と左脚はなんともないということがわかり、自分でもびっくりするぐらいに順調に、小樽から107km離れた苫小牧に、ほぼ歩くことなく到着したのでした。
これ以上、故障箇所に無理をかけるのもあれだし、1ヶ月後にはサロマも控えていることだしということで、ここでやめてもよかったのであるが、せっかく150kmの部にエントリーしたんだから、参加費の元を取るべくもうちょっと走ることにしましょう。
同じ150kmの部に参加されたタマ子さん、途中、胃腸障害でやられながらも、しっかりした足取りで第四CPにやってまいりました。
そして、やはりガッツのあるタマ子さん、ここでDNFするとは言わず、「あと25kmは走る!」と力強く宣言したので、「そうそう、そう来なくっちゃ!」と、ウインドブレーカーを着て、ヘッドライトを装備して、苫小牧の夜の街に繰り出します。
スタート前の段階では、まさか、夜用の装備を使うことになるとは夢にも思っていなかったよ。
いやぁ、念のため用意しておいてよかった。
多分、一人だったらポキっと心が折れていたと思いますが、こういうときの「共走仲間」の存在は本当にありがたい。
ど平坦なコースにも関わらず、ペースはキロ8分ぐらいにガタ落ちになっていたのだが、どうにか歩くことなく、20年前に住んでいた苫小牧の街を懐かしながら走ります。
昔の職場の近くにあったスーパーはリニューアルされたんだなあ。
あのうまいラーメン屋はなくなっていたか。
当時の仕事仲間と愚痴を言い合った「びっくりドンキー」は、まだ健在なのね。
そんなどうでもいいことを思いながら、棒のようになってしまった脚をどうにか前に出し、「苫小牧の街は知ってるので、ナビしますよ」とタマ子さんに言いながら、軽く道を間違えた私を自分でグーで殴りたくなってくる衝動に駆られたのであった。
非常にお疲れのところ、無駄に引きずり回してしまい、タマ子さんには本当に申し訳なかったですm(_ _)m。
結局、限界に達してしまった私達。
途中、決められたコースをショートカットする形になり、再びゴール地点となるホテルへと到着しました。
時刻は20時30分過ぎ。
朝の4時半から16時間以上にわたる、多くの方に支えてもらった「走る旅」は、これでおしまいです。
長く、苦しいながらも楽しく、そして何よりも充実した1日を過ごさせていただきました。
完全に抜け殻のガラガラ状態ですが、全てを出し切った晴れやかな表情をしています。
…と、顔を隠しているので好きなことが言えるわけだがな。
私の「超ウルトラキャノンボールラン」は、これで終わったわけだが、まだ頑張っているランナーさんがいらっしゃいます。
最終ランナーさんのゴールをしっかり見届けようと、スタッフさんや他のランナーの皆様とホテルのロビーでゴールの瞬間を待ちます。
時刻は24時。
いよいよ最終ランナーさんがゴールに近づいてきました。
ちなみに、このランナーさん。
今までマラソン大会自体に出たことは全くなく、今回が初めての大会参加ということです。
初めての大会で、10kmやハーフやフルを飛び越えて、いきなり「100kmウルトラ」を選ぶという挑戦心が素晴らしい。
完全に脚を引きずっている状態で、並の精神力の持ち主なら、とっくにDNFしていたことでしょう。
24時間テレビの芸能人マラソンを見て、「あんなフラフラ歩いているだけで地球なんて救えないだろう。こんなのが何の役に立つんだよ」と、覚めたひねくれた感想を持つ、心の貧しい私ですが、リアルで暗闇の中、必死で頑張っている人を見るのは、テレビの画面越しに見るのと全然違う。
役に立つとかそういうのはどうでもいい。
ただ、自分の限界を超えて前に進もうという姿勢が、マラソンに限らず、生きることにおいて大事なのではないか。
知らんけど。
ウルトラマラソンは自分で走って楽しむだけではなく、人が走る姿にも感動をもらえて一石二鳥である。
そこには勝者も敗者もない。
結果よりも、「挑戦すること」「前に進むこと」そして「楽しむこと」が大事であるということを学ばせてもらった、小規模ながらも非常に心温まるイベントでした。
後日、「風たびRC」さんからメールで送られた記録証。
「150kmの部DNF」ではなくて「125km完走」という形になっているところに優しさを感じます。
そして、ひとりひとりのランナーに対して、丁寧にコメントが添えられていることに感激です。
自分では結構いっぱいいっぱいかなあと思っていたのですが、まだまだ余裕があったように見られていたのですね。
というか、きっと私はまだまだこれ以上進化できるのでしょう。
やっぱ私は「フルよりウルトラの人」なんだなあと。
このような素敵なイベントに挑戦する機会を与えていただき、「風たびRC」の皆様には本当に感謝しています。
また、どこかでお会いできれば思います!
(次回、反省会につづく)