「なぜ、こんなところに駅が?!」
私のように北海道の外れに住んでいる人間が、線路沿いをドライブしていると、そういった光景によく出くわす。
ボロボロの廃貨車が駅舎になっていて、周りに民家はほとんどなく、本当にこんな駅誰が利用しているのかしらん?と思われるような駅である。
いや、道路沿いから見えるような駅はまだマシな方かもしれない。
中には幹線道路からかなり離れた砂利道を進まないと行けないような、森の中にひっそりとたたずむような駅もある。
もっとひどいところになると、「駅に行くまでの道が存在しなく、鉄道以外では到達不可能」という駅もある。
そのような駅を、人々は親しみを込めてこう言う。
「秘境駅」と。
この駅の周りに民家はない。
釧路湿原を見渡せる「細岡展望台」の最寄り駅であり、「観光客専用」の駅なのである。
夏になると、ツアーの観光客が大量に釧路湿原駅から乗り降りして、賑わいを見せているのだが、問題は冬なのである。
11月までは「上り6本、下り6本」の列車が停止する「釧路湿原駅」であるが、12月からはどうなるのか?
なんと「下り2本、上りに至ってはたったの1本」しか停まらない、まごうことなき「秘境駅」になるのである。
となると、秘境駅をこよなく愛する私は思うわけである。
「たったの1本しか停まらない上り列車に乗ってみたい」と。
うむ、列車に乗るのはいい。
しかし、この時間まで上り下りを含め、釧路湿原駅に停まる列車など一本もない。
もちろん、路線バスも走っているところではない。
一体、駅までどう行けばいいのか?
そこは心配ご無用である。
だって私はランナーなんだから。
そう、こういう秘境駅めぐりのために、私はランナーとして日々活動しているのであった。
そんなわけで、今日やることは単純です。
1.家から走って30km離れた「釧路湿原駅」に行く。
2.唯一の釧路行き上り列車、13時14分発の「快速しれとこ摩周号」に乗って帰ってくる。
さあ、今日もLet's Run!
ずんどこずんどこ走って、まずは「釧路湿原駅」の隣駅「細岡駅」へと行きます。
この駅も周りに民家は全くない「秘境駅」でありますね。
ただ、この細岡駅は冬期間でも「上り6本下り6本」の列車が停まります。
一日の平均乗車人員は「0.2人」と、いつ廃駅になっても不思議のない駅であります。
秘境駅マニアなら、廃駅にならないうちに行っておきましょう。
細岡駅と隣の釧路湿原駅とはそんなに離れていません。
距離にして約2.4kmと、歩いてでも行ける距離です。
川釣りを楽しむ方が結構いましたが、この時期に寒くないのかしらん。
動いていて身体が暖まるランニングより、動かないでじっと待っている釣りの方が、今の季節よっぽど辛そうに思える。
きっとそう思うのは、私が全く釣りに興味がないからだと思うような気もするが。
お目当ての釧路湿原駅は、細岡駅よりも更に深い森の中にひっそりとたたずんでいました。
駅舎はログハウスで立派だが、立地は十分秘境駅の名にふさわしいところにある。
時刻表を見ると、一見、列車がたくさん停まるように見えるが、12月〜4月の間は、「網走行き2本、釧路行き1本」しか停まらない「冬季限定の到達困難な秘境駅」となる。
駅の中には自販機があり、「やった!コーラが飲める」とぬか喜びしたが、そりゃあ、こんな列車の停まらない時期に使えるわけもなく。
駅舎には暖房など入っているわけがなく、列車が来るまでブルブル震えながら待っておりました。
暖房のない駅舎よりも、日の当たるホームで待っていた方がまだ暖かいかと。
列車は定刻通りにやってきました。
釧路行きの始発かつ終電である「快速しれとこ摩周号」に乗り込みましょう。
にしても、釧網本線の普通列車は全てこの駅をガン無視するのに、唯一停まる列車が快速列車というのがよくわからないところだ。
スーツケースを持った観光客が二人降りてきましたが、1時間後に網走行きの普通列車が停まるので、それまで細岡展望台にでも行くのでしょう。
あ、すっかり忘れておりましたが、ついでなので私も細岡展望台に行っておりました。
冬枯れの湿原も味わいがあっていいものです。
ランニングで来た阿呆は私一人でありましたが、ロードバイクでいらしたツワモノがいらっしゃいましたね。
この時期、ランニングよりもロードバイクの方が寒くて辛いと思うのだが、それはきっと私がすっかり自転車に興味を失っているから思うことなのであろう。
実際、記録を見ると、5年ぐらい前のこの時期に自転車でここに来たことになっている。
あのときの俺、よくクソ寒い中耐えたものだ。
いつものように、とりとめもなく、ダラダラと書いてきましたが、言いたいことをまとめると
冬の釧路湿原駅、激しくおすすめします。
到達手段がないと嘆くぐらいなら、走ってでも行きましょう。
さようなら。