さて、7月24日(土)、9時半過ぎに「ひとり北オホーツク50kmマラソン」を勝手に始めた私なのでありました。
この時点で気温はすでに29度。
真夏の太陽が暴力的に降り注ぐという、ハワイが乗り移ったかのような、あるまじき気象条件です。
スネ夫くん風に、「北オホーツクのくせに生意気だぞ!」と叫びたくなるような、うだるような暑さです。
浜頓別の市街地を西に進み、1kmぐらい進むと、浜頓別のランドスケープである「クッチャロ湖」が目前にババンと広がります。
開始わずか1kmで、このような北海道道らしい雄大な自然を目の当たりにできる、非常に太っ腹なコースです。
市街地からそんなに離れていないところでこれなら、今後はもっと期待できそうな展開です。
さあ、見せてくれ!北の大地の手つかずな自然を!
湖が見えたことによって、ちょっと涼しさを感じましたが、騙されてはいけません。
お日さまは絶好調にカンカン照りで、10分足らずで身体中から汗が吹き出してきました。
マメな水分補給で熱中症だけは防ぎましょう。
クッチャロ湖畔はキャンプ場になっていて、キャンプを楽しまれている方が結構いらっしゃいましたが、そんなキャンパー達の奇異の視線を横に黙々と走ります。
今思えば、クッチャロ湖畔の木々に囲まれた道は、今回のコースの唯一のオアシスだったかもしれません。
その後、コースは再び浜頓別市街に入り、そっから国道238号線を北上し、本格的な田舎道に入ります。
すなわち、コンビニや自動販売機やトイレなどがない「無補給スポット」が延々と続くわけです。
7km過ぎから国道238号線を離れ、今回のコースのハイライトである「エサヌカ直線道路」へと向かいます。
国道から離れると、見渡す限り牧草地が続き、牛さん天国ですな。
写真ではわかりにくいですが、牛の放牧が行われており、こんな広々としたところで過ごせる牛はひょっとしたら幸せなのかもしれないと思ってしまいました。
10km過ぎたあたりから、いよいよ8kmも続く「エサヌカ直線道路」に入ります。
ここまでキロ6分半ぐらいのペースでタラタラと。
こんなところで行き倒れても、誰も助けてくれないので、慎重にバテないように歩を勧めていきます。
この辺りから、日が陰ってきて、ちょっと走りやすくなってきましたね。
これが「エサヌカ直線道路」です!
見事なまでに地平線まで続いていく直線道路。
もちろん、信号も何もなく、ただひたすら真っ直ぐ進むためだけに存在しています。
ビバ、道北!
ビバ、浜頓別!
この写真を見ると、眼科の視力検査のあれを思い出しますね。
視力検査のあれは、エサヌカ直線道路をモデルにしたんじゃないかと思ってしまったぐらいの見事な直線ぶりでした。
北海道マラソンでも「新川通」という、往復13kmの直線部分があるが、殺風景さは新川通とは比較にならないですな。
と言うか、いっそのことオリンピックのマラソンはここでやっちゃえばよかったのに。
密とは無縁で、札幌よりも涼しい、マラソンには最高の環境だと思いますぜ。
この道はライダーにとっては人気の道で、3分ごとぐらいにオートバイに遭遇しましたね。
中には、手を上げて私にエールを送ってくれたライダーさんもいて、非常にありがたかったです。
オートバイの他にもレンタカーがそこそこ走っていて、夏の間は「観光道路」となる「エサヌカ直線道路」でした。
ちなみに、言うまでもありませんが、こんな気の遠くなるような道を走っていた阿呆は私一人だけでありました。
エサヌカの長〜〜〜い直線は終わり、2ヶ所ほど曲がります。
で、大体ハーフマラソンぐらいの距離のところで、折返し。
ちょっと休憩を取りましょう。
直線部分が終わっても、同じような風景でしたね。
正直、飽きてきました。
オホーツク海を見ながら、水を飲んだり、電解質を摂ったり、事前にセイコーマートで買った「塩レモン大福」を食べます。
スポーツの補給にはいいな、これ。
期間限定物だが、レギュラー化しないかな。
糖分と塩分の補給にはもってこいですな。
さて、エサヌカを折り返して、右に曲がり、国道へと向かう脇道に入りましょう。
風景はエサヌカとちっとも変わりませんな。
ただ、エサヌカはひたすら平らな道でありましたが、こっからはちょっとアップダウンがあります。
ひとつひとつのアップダウンは大したことはないが、20km以上暑い中走ってきた身にとっては、しんどく感じますな。
再び国道238号線に入り、南下します。
事前にGoogleストリートビューで予習したところ、この辺りに今回の市街地以外のコース上で「唯一の」自動販売機があるはずです。
で、目を皿のようにして、自販機を探しながら走っていたわけだが……。
あったはずの自販機がない!!!!!
まあ、国道でも交通量がほとんどなく、ついでに民家もほとんどないようなところなので、自販機が撤去されたところで仕方がない。
飲料メーカーもボランティアで自販機を置いているわけじゃないからな。
とは言え、長距離ランニング中の身にとっては、ここに来て補給スポットを断たれたのは痛い!痛すぎる。
残っている水は1リットル弱。
内陸部に入り、再び日差しが強くなり、気温が上がってきました。
残り約20km、これだけの水で乗り切れるのだろうか?
とりあえず、やたらデラックスなバス待合所があったので、ここで休憩しつつ「ひとり作戦会議」を立てることにしよう。そうしよう。
ちなみのここのバス停の名前は「飛行場前」。
空港もないのに、なぜ飛行場前なのかは不明。
ま、知りたい方は、ググれば由来が出てきますので、テキトーに調べてみてください。
中に入ると、日差しが遮られてちょっとは涼しいかなと期待したが、もあっとした空気が充満していて、サウナ風呂のようであった。
いくらサウナ好きの私でも、こんなときにサウナ気分は味わいたくない。
で、サウナ室の中で「あーでもない。こーでもない」と、一人で考えた末に結論は出ました。
行けるところまで行くしかない!
と。
残り約20km、果たして私は無事に浜頓別の市街地に戻ることができるのか?
(つづく)