弟子屈。
なかなかの難読地名である。
北海道以外の方で、初見でこれを読める人は、まずいないであろう。
「でしくつ」と読みたくなるところであるが、正しい読み方は「てしかが」である。
「てしかが」と言われても、多くの人はあまりピンと来ないかもしれないが、「摩周湖や屈斜路湖のある町だよ」と言われれば、「あーあーあー、摩周湖と屈斜路湖なら聞いたことがある」となるのではないでしょうか。
弟子屈町は湖と温泉の町なのである。
そんな弟子屈町に、今年の10月1日から「摩周・屈斜路湖トレイル」という遊歩道がオープンした。
その距離なんと44km!
いかにも北海道らしいめっちゃ長いトレイルなのである。
で、この「摩周・屈斜路トレイル」は大きく2つの部分に分かれております。
セクション1は摩周湖第一展望台から川湯温泉を結ぶ「火山の道(20.5km)」、セクション2は川湯温泉から屈斜路プリンスホテルを結ぶ「湖の道(23.5km)」であります。
今回は屈斜路湖沿いの「湖の道」を走って「ひとりフルマラソン」をやってやろうじゃないかという、酔狂な企画です。
道東在住の私も、普段あんまり行かないところであるから、新鮮な気持ちで「旅ラン」として楽しめるのではないでしょうか。
ということで、10月10日(土)「旧体育の日」に、弟子屈町川湯温泉に向けて、ブーンと車を走らせます。
この日の川湯が冷え込みがキツく、最低気温が−0.2度と、ついに氷点下の世界になってしまいました。
私が到着した8時でも8度しか気温がなく、上は半袖Tシャツにアームウォーマーと手袋を装着、下はユニクロのロングのジョガーパンツという「北海道の秋スタイル」で走り出すことにしました。
スタート地点の「川湯エコミュージアムセンター」。
正確なルートは把握していなかったのだが、多分この道なんじゃないかなあというところからどーんと走り始めます。
一応「トレイル」と銘打っている今回の「摩周・屈斜路トレイル湖の道」でありますが、ほとんどがアスファルトの歩道で、未舗装路の部分は3kmぐらいしかありません。
なので、シューズはトレラン用のシューズではなく、普通のジョギングシューズ「NIKEペガサス37」をチョイスしました。
こう書くと、あえてトレランシューズを選ばなかったように思われるが、実際のところは、単に私がトレラン用のシューズを持っていないだけであった。
あっという間に川湯温泉街を抜け、森の中の自然あふれる道を走ります。
歩道に落ち葉がかなりありますが、紅葉度は3割ぐらい。
来週ぐらいが紅葉のピークなんじゃないでしょうか。
最初のうちは「おお!これはなかなかいい道だ!」とテンション高く走っていたのですが、さすがに5km以上延々とこの景色が続くと飽きてくるのであった。
道東道北は単調な景色の一本道が多過ぎる。
車でビューンと走るのならいいが、ランニングだとただの苦行である。
この辺りは緩々と上り基調だったこともありますが。
5kmを過ぎたあたりから、木々の間から屈斜路湖が見えてきて、やさぐれた心が少し穏やかになってきます。
うむ、湖はよい。
何がよいと言われると返答に困るのであるが。
8km地点でようやく単調な景色は終わり、「砂湯」という観光地に到着。
地名の通り、砂浜から温泉が出るというところであります。
こんな朝早くから修学旅行の生徒の記念撮影が行われて賑々しかった。
昔、イギリスのネス湖に「ネッシー」という未確認生物がいるという噂がありましたが、屈斜路湖にも「クッシー」という未確認生物が潜んでいるということらしいです。
多分、99%はいないと思うが、そういう夢をぶち壊すような話をしてはいけない。
みんなの心の中に「クッシー」は生息しているのだ。
砂湯を過ぎると、また単調な森の中を走ることになりますが、10kmちょっと過ぎたところで、ようやく今回の行程の目玉である「トレイル部分」に入ります。
オープンしたばかりということで、道はしっかりと整備されていて、走っていて非常に気持ちがよい。
このままどこまでも走り続けたくなるような最高のトレイルでした。
と、思いきや、丸太がどーんと道を塞ぎます。
しかし、これもトレイルの魅力である。
障害物競走のごとく丸太を乗り越え、どんどんと先に進んでいきましょう。
右手には湖が見え、最高のロケーションのトレイルである。
写真真ん中に見える島っぽいところが、今回私の目指す「和琴半島」である。
3kmぐらいでトレイル部分は終わり、またアスファルトの歩道に戻ります。
「あと3km」という標識が唐突に出てきて、「はてさて、一体どこまでがあと3kmなのだろうか?」疑問に思ったが、結局最後まで謎だった。
どなたか、この「あと3km」の謎をご存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい。
私は普段、釧路川下流の河川敷を走っているのだが、普段見慣れた川が、実は屈斜路湖から始まっているのだということを実際に目にすると、「ああ、本当につながっているんだな」という地図を見るだけではわからない感動を覚える。
地図やネットを見て、どっかに行った気になるだけではなく、実際に行って目で見るという経験が大事なのである。
国道243号線との分岐を右へ曲がります。
こんにちは、国道243号線。
さようなら、今まで走ってきた道道52号線。
復路でまた会おう。
で、国道243号線を美幌方面に3.5kmほど進んで、和琴半島への道へと右折します。
この道は今まで車で何回も通ってきたのだが、右に行ったら何があるのかなあと、ずっと疑問に思ってきた。
この疑問が今日ようやく明かされるのだ!
1kmぐらい進むと、駐車場とお店が存在していた。
ここはキャンプ場になっているのですね。
道東歴6年目の私も初めて足を踏み入れるところで、「へー、ここはこうなってるんだ。こんな人里離れたところに店を構えて採算は取れるのかしらん」と余計な心配をする私なのであった。
かくして、私は和琴半島に到達して、人生の経験値をまたひとつ上げたのであった。
ここまで約20.5km。
(つづく)