2020年の10月、道東の弟子屈(てしかが)町に「摩周・屈斜路トレイル」なるものがオープンしました。
弟子屈町と言われても、特に道外の方はピンと来ないと思いますが、「摩周湖や屈斜路湖のある町だよ」と言われれば、へぇと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
弟子屈は2つの湖を中心とした、非常に自然豊かな町です。
このトレイルは全長44kmに渡り、摩周湖第一展望台から川湯温泉までの道(20.5km)と川湯温泉から屈斜路プリンスホテルまでの道(23.5km)の2つのセクションに分けられています。
で、摩周湖第一展望台から川湯温泉までの道は「火山の道」、川湯温泉から屈斜路プリンスホテルまでの道は「湖の道」と名付けられています。
ほんでもって、このトレイルがオープンしたばかりの去年の10月に、私は「湖の道」の部分を走ったのですね。
「湖の道」は距離こそ23.5kmと長いですが、極端なアップダウンはなく走りやすい道でした。
それに比べ「火山の道」は標高差が約400mと結構ハードな道になります。
しかし、今年から電撃的に登山を始めた私としては「400mの標高差、望むところだ!」と、意気揚々と「火山の道」にチャレンジしたのでありました。
「火山の道」は本来「摩周湖第一展望台」から始まるのですが、ここの駐車場は施設の開いている時間帯では、どんなに短時間の利用でも500円をボッタくるので、ケチな私は無料で車を停められる「川湯エコミュージアムセンター」に車を置き、逆方向にトレイルを進むことにしたのであった。
逆方向だと、ひたすら展望台まで登り続けることになるのだが、先程も書いたように「登り上等!望むところだ!」とやる気だけは満々なのであった。
今日はここから。
川湯エコミュージアムセンターです。
センター入り口では自転車旅行者がテントを張っていましたね。
私も10年ぐらい前はキャンプする自転車旅に憧れていたのだが、知らないうちに全然違う方向に路線変更してしまった。
自転車に興味を持っていたころは、自分がウルトラマラソンやトレイルランに傾倒するなど夢にも思っていなかったのだが。
どこでどうなるかわからないのが、人生の面白いところである。
ひょっとしたら、私の10年後はスケボーにはまっていて、オリンピックを目指しているのかもしれない。
「つつじヶ原自然探勝路」からトレイルが始まります。
まずは「硫黄山」方面に進みましょう。
森の中のよい感じのトレイルが1kmぐらい続きます。
1km過ぎた辺りで視界が開け、道はぐねぐねと折れ曲がり、ちょっと走りにくい感じです。
慎重に転ばないようにしていきましょう。
霧が晴れてきて、煙を吹き出す「硫黄山」が見えてきました。
硫黄山が近づくにつれ、足元は火山灰になっていきます。
尚、硫黄山はバリバリの活火山で、登山は禁止されています。
仮に禁止されていなくても、腐った卵のような硫黄臭漂う山に登ろうとはみじんも思いませんが。
煙がすごくて山がよく見えませんな。
さすが「火山の道」だけある。
硫黄山はそこそこ有名な観光地ですが、こんな朝7時前からいるような阿呆は私ぐらいでした。
一応、今回はガーミンの中にルートを入れて、GPSの導きに従って進んでいたのだが、硫黄山からの道の分岐がわかりにくく、どう行けばいいのかちょっと迷ってしまった。
ウロウロしていると、犬の散歩をしている地元民の方がいらっしゃって、「こっちに行けば川湯温泉駅の方に行けるよ」と教えて下さいました。
トレランスタイルの私を見て、「いいですね。どこまで行くんですか?」「あー、ちょっと摩周湖の第一展望台まで」「え!結構距離有るんじゃないんですか?」「20キロぐらいですね」「そうですか。気をつけて」なんて会話をして、犬の散歩の方とは別れました。
ありがとうございました、散歩の方。
こういう会話をしていると、まるで自分が未知の領域を目指す旅する冒険家になったような気がしますな。
現実の私はただのへっぽこランナーであるが、気持ちだけは冒険家でいたいものだ。
実際は単なる森の中の道なのだが「青葉トンネル」と名付けられているのがいいですな。
確かに木が斜めに向かい合って伸びていて、枝の葉がトンネルを作っているように見える。
これは自然にそうなったのか、狙ってそのように植えたのかはわからないが。
500mぐらい青葉のトンネルは続き、国道に出ます。
思いっきり逆光の写真であるが「川湯温泉駅」着。
ここまで約4km。
出発した6時半ごろは10℃ちょっとと寒くてウインドブレーカーを着込んでいたが、暑くなってきたので、ここでウインドブレーカーを脱ぎましょう。
「温泉」駅だけあって、駅には無料の「足湯」があります。
トレランスタイルの身としては、こんなところで足を濡らすと走りに影響するので、足湯はパス。
帰りに寄ろうかなあとも思ったが、結局、帰りもスルーしちゃいましたね。
ランニングと足湯の相性はよろしくない。
足湯あるのは事前に知っていたんだから、タオル持っていけばよかったなあ。
さて、川湯温泉を過ぎて、こっからは補給スポットゼロの田舎道に入ります。
(つづく)