北海道別海町。
北海道は東端の根室振興局管内に位置します。
人口は約14000人。
それに対して、飼育されている牛の数は約11万頭と、北海道でも有数の酪農地帯です。
面積は香川県に匹敵するぐらい広く、東西に約60kmと長く、大きく分けて西側の西春別エリア、真ん中の市街地エリア、そして、今回の「アイスマラソン」の舞台となる東側の尾岱沼(おだいとう)エリアの3つに集落が形成されています。
そんな別海町ですが、他の北海道の町村同様、過疎化が進み、人口減少・高齢化が深刻な問題になりつつあります。
そして、北海道の冬は厳しく、尾岱沼エリアにある野付湾の海は凍り、雪や氷に閉ざされた日々が続きます。
そこで、「厳しい冬の別海で、多くの人を呼ぶことができるイベントはできないのか?」「この厳しい寒さを逆に利用できるのではないか?」と、別海町の未来を担う若者たちによって企画されたのが、今回開催された「別海アイスマラソン」なのです。
正直、42kmの部の参加費40000円にはビビりました。
東京マラソン(23300円)よりも、1万円以上高い参加費です。
こんなマラソン大会に思いつきでエイヤッと参加するのは、余程の金持ちか、余程のアホウかどっちかでしょう。
もちろん、私は後者であるが。
参加費の高さに一旦参加をためらった私であるが、「マチの活性化のために頑張っている若者」を応援したいという気持ちもこめて、「冬の別海を楽しもう!」と参加を決意したわけであります。
道東在住の私でも、冬道の運転が苦手ということもあり、冬はほとんど釧路から外に出ないのでね。
たまには「冬の道東の自然」を気が狂うほど満喫するのもいいだろうと。
参加を決意した段階ではは、まさか本当に気が狂うとは思わなかったが……。
さて、前置きはこんくらいにして、まずは大会前の行動から振り返っていきましょう。
大会2日前は、釧路を代表する洋食屋「泉屋」で「泉屋風」という塩味のスパゲッティを食べました。
「泉屋風」を食べるのは、もはや私の中で「フルマラソン前の儀式」となっています。
食べているうちに飽きてくるので、途中からソースをかけて味変させるのがポイント。
大会前日の朝飯は、朝イチのスーパーで、半額菓子パンあさり。
別海の牛乳だけは、きちんと定価で買いました。
昼は「道東民のソウルフード」インデアンカレーで、ハンバーグカレー。
B級グルメで、翌日のカーボローディングをしっかり行いました。
んで、釧路から90kmぐらい車を運転して、別海町へ。
受付会場である「別海町青少年プラザ」へ。
「ICE MARATHON」のノボリが、いよいよ大会だなんだなあと、ワクワク感を演出します。
道中、持ち物チェックしているときに「あぁ!ゼッケンベルト忘れた〜!」と絶望したが、参加賞のなかにキチッと準備されていた。
さすがアイスマラソン、ぬかりがない。
今回のレースは、気温の変化によって、ウェアを脱ぎ着することが予想されるので、ゼッケンはウェアにつけないで、ゼッケンベルトを使う方が都合がいいのね。
競技説明会の前に、今回のプロジェクトメンバーである「トライアスリート」の白戸太朗さんと、「北極冒険家」の荻野泰永さんの対談講演がありました。
講堂の前に飾られた「南極トライアスロン」での使用バイク。
さすがに極地での競技となると、普通のロードバイクでは太刀打ちできず、タイヤが極太の「ファットバイク」じゃないと歯が立たないようだ。
というか、南極でトライアスロンをやる意味がわからない。
これを見ただけで、「自分はひょっとしたら、間違ったところに来てしまったのではないか」と思った。
さて、講演会。
結論から言えば、めっちゃ面白かったですね。
特に荻野さんの「極地での栄養補給」の話が面白かったです。
・冒険中は同じものを食べ続ける。なぜなら、同じものを食い続けて、突然「うまい!」と感じたら、これは相当身体が疲れているということがわかるからである。
・マイナス40度、50度の世界でも脱水症状は起こる。水は朝イチで1リットルは飲んどけ。
参考になったのは、こんなところかな。
私もウルトラマラソンで経験があるが、同じジェルを摂り続けて、突然「うまい」と感じたときが撃沈のスタートであることが多い。
補給食はマズイぐらいがちょうどいいのである。
あと、荻野さん、勝手にハリーポッターに出てくるハグリッドみたいな「ワイルドな巨人」を想像していましたが、思ったより見かけは普通の人で、どこにでもいるおっさんという感じでした。
荻野さんの本は、今、kindle版でポイント50%と、実質半額で売っているので、興味のある方は、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。
講演でも言っていましたが「環境に対する人間の適応力は、自分が思っているよりもすごい」ということがわかります。
天賦の才よりも、環境が人を作るのでしょうな。
スケールの大きい「北極冒険」の話を聞くと、「アイスマラソンなど、所詮決められたコースの上を走るだけの遊びみたいなもんだな」と、ちょっと気が大きくなったところで、中標津のホテルに泊まり、明日への決戦に備えます。
(つづく)