ゴシラン

走ることについて語ります

「別海アイスマラソン」参加記(その4)

gossy54200.hatenablog.com

 

足首まで雪で埋まる悪条件の中、ひぃこら言いながら、どうにか半分の21kmまで進むことができました。

かかった時間は3時間半。

「38km7時間制限」まで、ちょうど半分というところです。

 

さて、ここでまた森永のプロテインチョコバーを食べましょう。

時間短縮のため、立ち止まらずに歩きながら食べることにします。

少しでも無駄な時間は減らすように努力していきましょう。

 

ん、さっきよりもうまくないな、プロテインバー。

うまく感じないということは、2本目で慣れの問題もあるかもしれんが、疲労が回復しつつあると判断することもできる。

同じ補給食を食い続けて、その味覚を体調のバロメーターにする戦法、結構使えるかもしれん。

 

6周目にも入ると、大体コースがどんな感じかわかってきます。

前半、南に進んでいくときは、まだ雪が締まっていて走れるところもありますが、後半の北半分は、ズボズボ雪で歩くのもままならないといった感じです。

周回コースの前半で、いかに頑張れるかがポイントだと思いました。

 

午後になり、16kmの部に参加された最終ランナーがゴールし、コース上は寂しくなっていきます。

しかも、雪が降り出して視界もよろしくないもんで、孤独感が増していきますね。

 

あまりにズボズボのコンディションなので、途中、コース上にスノーモービルが走り、足跡だらけのコースが平らにならされていきます。

「よっしゃー、スノーモービルの後をついていけば楽に走れる!」と、一瞬喜んだものの、所詮下は「腐った雪」。

いくらスノーモービルで表面上は平らにならされていても、それは腐った土台の上に家を建てるようなもので、結局ズボズボ路面は変わらず。

それでも、「少しでもよいコンディションで走ってもらいたい」という主催者側の皆様の思いは伝わってきて、ありがたかったです!

 

さて、体調は徐々に回復傾向にはあったが、4時間も5時間も身体を動かし続けると、突然「思考のスイッチ」がオフになってしまう。

本来、脳に行く部分の血流が、手足に行ってしまうからなのかどうかは知らないが、頭の中のゴミが払われたかのように、すべてが「無」の状態になるのである。

 

この「無」の状態が、なんとも言えず心地よい。

「無」の状態では、時間も空間も存在せず、ただあるのは「私」のみ。

いや、違う。

「私」すら存在せず、「神」や「仏」に導かれて、自分の肉体が自動操縦されているような感覚。

これを言語化するのは難しいが、仏教の「禅」によって、こういう状態に入り込んでいくのだろうか。

これが「マインドフルネス」ってやつなのかね?

過去も未来なく、あるのは「いま、ここ」のみ。

私はまったく信心深くないが、ウルトラマラソンの終盤で、ふと「神」を感じるときがある。

 

思考は働かないが、かと言ってボーッとしてチコちゃんに怒られるような状態でもなく、頭の中はクリア。

6〜9周目までは、同じことを繰り返し続けて気が狂ったからかどうか知らんが、あんまり記憶にない。

ただ「無」。

過去も未来もなく、ただ「いま、ここ」に浸っている。

ただ「エクスタシー」。

 

科学的なことはようわからんが、人間、肉体的な限界を超えてくると、モルヒネみたいな脳内麻薬が分泌されて、恍惚状態に陥るのかもしれない。

私がフルよりウルトラが好きなのは、こういう限界を超えたところにある精神活動というか、人間の神秘に惹かれるところがあるのかもしれない。

 

コース上の大半では「無」になっていた私であるが、メイン会場ではMCが実況中継でレースを盛り上げてくれました。

私が8周目の途中で、先頭ランナーはすでに10周目に入り、ゴール間近という状況です。

このコンディションの中で、キロ8分近いペースとは言え、ずっと走り続けていたんだから変態称賛に値する。

 

先頭ランナーがゴール!

記録は5時間34分。

「第1回別海アイスマラソン」は、優勝タイムが普通のフルマラソンの約2倍という、非常にタフなレースでありました。

おめでとう!中氏。

同じクラブメンバーとして、仲間の優勝は自分のことのように嬉しいよ。

 

さて、先頭はゴールしたが、私はまだ2周半ぐらい残っている。

ただ一周50分(キロ11〜12分)ぐらいで、制限時間には間に合うんで、そんなに時間に追われているという感覚はなく、とにかくマイペースで、帰りの運転と次の日の仕事のために体力を残さんきゃなあと3%ぐらい思いながら、すたこら進んでいきました。

 

で、すたこら進んでいるうちに、9周目が終わりました。

時間は関門約15分前。

「やった!間に合った!」

メイン会場で、今回のプロジェクトメンバーである白戸太朗さんに「おめでとう」と祝福され、今までのことが報われたという気持ちでいっぱいです。

そして、白戸さんに「ほら、祝福しているかのように晴れてきたよ!最後の一周、もう時間制限はないから、ゆっくり楽しんで!」と言われ、ようやく雪がやんで晴れているという天気の変化に気づきました。

もう、ワシは天気の変化を感じる余裕もなかったんだなあと。

 

(※ 22km、26km、30km、35kmはエイドロスも含めたタイムです)

 

 

今回の大会は「寒さでチップが作動しないかもしれないから」という理由で、記録はスタッフによる手動でものとなりました。

んなわけで、最後の周回は、「この人はあと1周で終わりだよ」ってのがわかるように、上のバフをつけて走るというルールになっていました。

このバフが事実上の「完走賞」と言ったところでしょう。

これから私は各地のマラソン大会で、このバフをつけて走り、「別海アイスマラソン」の素晴らしさをアピールすることを誓います。

 

最初は「あわよくば3位入賞」などと考えていましたが、もう入賞など完全に圏外です。

しかし、私は入賞圏外だったら、最後の1周は「あること」をして走ろうと心に決めていました。

その「あること」のために、ラスト1周に入る前に、選手用控えテントに入り、謎の準備をしていたのでありました。

 

(つづく)