(前日までの様子はこちら)
2023年2月12日(日)
いよいよ「日本初」の「頭のおかしい」イベント。
いや、ちょっと言い過ぎた、「気が狂った」イベント。
……どっちも似たようなもんか。
まあ、気が狂う狂わないはどうでもいいとして、画期的な「凍った海の上を走る」という「別海アイスマラソン」の日がやってきました。
前例のない、この「世にも奇妙なマラソン大会」、一体どのような展開になることやら。
4時半起床。
朝食、風呂などをすませ、6時半に中標津のホテルを出発。
中標津から、会場の別海町尾岱沼(おだいとう)までは、車で30分ぐらいです。
道東の朝って、気温がマイナス二桁まで冷え込んだときは、空気がキラキラしてキレイなのですが、この日は朝でもマイナス4度と気温が高く、こころなしか少し空気がよどんでいる感じ。
7時、会場着。
メイン会場には選手用のテントがあり、そこに着替え、補給食などの荷物を置くことができます。
中にはジェットヒーターがあり、暖を取るには十分でした。
むしろ、ランシャツ・ランパンで長時間並ばされる、春先の都市型マラソンの方がスタート前の寒さという意味ではキツイかも。
見渡す限り真っ白で、水平線も見えるという、とてもマラソン大会の舞台とは思えない光景。
もうちょい気温が低ければ「サラサラ雪」で、まだ走りやすいのですが、今日は朝から「ザラメ雪」と、ねっとりとした走りにくい雪質になっております。
今、改めて見ると、こんときはまだコースは荒れていなく、「あれ?意外と走れるんじゃね?」ぐらいに思っていましたがね。
ちょいボケた写真ですが、上空にはドローンも飛んでいて、空からもレースの模様は撮影されました。
さて、8時スタートである「42kmの部」の参加者は、わずか42名。
もちろんスタートブロックなどあるわけがなく、レース直前になっても、緊張感のないゆるい空気が流れます。
いいねえ、こののんびり感。
スタート直前に、選手全員で「エイエイオー!」と気合を入れた後、いよいよスタートのホーンの音が鳴り、42kmの長い道のりが始まりました。
この動画のスタートシーンを見る限り、思いっきりフライングをしている人がいるようにも見えるが、そういう細かいことは気にしない。
何事にもおおらかなのが、道産子のいいところなのだ。
動画のインタビューにもあるように、沖縄やシンガポール、カナダから参加されたツワモノもいらっしゃいました。
では、走り出しましょう。
前の方は勢いよくバーっと飛び出していきましたね。
間違いなく「持久戦」になると睨んだ私は、出だしはゆっくり入り、雪道に慣れていない道外からの参加者がバテてきたところをとらえて、優勝は無理でも、あわよくば3位ぐらいに入れればなあなどと、甘い皮算用をしながら走っておりました。
出だしの1kmは6分59秒。
大体、「キロ7分〜7分30秒」ぐらいのペースで行ければなあと思っていたので、まずは予定通りのスタートと言えるでしょう。
できればハーフぐらいまでは、このペースを維持して、後半勝負の展開に持ち込みたいところ。
そういや、まだ競技説明をしていませんでしたね。
ルールは以下のようになっています。
・1周4.2kmのコースを10周します。
・スタート地点である大会本部には、トイレ、エイド、休憩用のテントがあります。
・5周(約21km地点)で、選手全員、競技続行が可能かどうかのドクターチェックを受けます。
・9周(約38km地点)で、7時間を超えたらタイムアウトでDNFとなります。
・ポールの使用はOK。
・スキー、スノーシューはNG。
てなところでしょうか。
初っ端からズボズボ道に苦しめられますが、約30分で一周と、思ったより悪くないペース。
この調子で行けば、5時間は無理だとしても、7時間ぐらいでゴールできるかなと、甘いことを考えておりました。
エイドの補給食は、森永乳業さんの提供です。
飲み物は「別海牛乳」もありましたが、別海名物「ホタテバーガー」とか、パイロットマラソンのときに出てくる「鮭汁」とか、もうちょい別海らしいものがあってもよかったかなあとは思います。
んで、1周目が終わり、トイレ、給水、捕食をすませ、速やかにレースに戻ります。
一度休んだら、出発するまでにものすごくエネルギーを要しそうだったので、エイドではテントには入らず、必要最低限の補給だけすませ、すぐに出発するようにしました。
2周目。
明らかに1周目よりもコースが荒れ、走りにくくなっています。
でもって、マイナス2度だと、走っていればむしろ「暑い」。
極度の「指先冷え性」の私でも、ミトンは暑いと、途中で脱いで、インナー手袋一枚にしました。
1周目ではなんとかキロ7分台で走れていましたが、2周目ですでにキロ8分半ぐらいのペースになりました。
自分としてはキロ6ぐらいの力感なんですが、ズボズボ雪で地面反力がもらえず、全然前に進んでいかんのよ。
かと言って、無理に足首やふくらはぎで蹴っても、体力を消耗するだけなので、ひたすらコンパクトな動きで、歩幅を小さく、190ぐらいのピッチで刻んでいきます。
2周目は40分ぐらいで終了。
補給はエイドだけで摂れば十分だな。わざわざリュック持つ必要ないなと、ここでトレランリュックに戦力外通告を下します。
背中も蒸れるし、少しでも身軽にして走りたい。
まだ、あと8周もあるのかって気持ちもあるが、先を見ると辛いので、目の前の一歩一歩だけに集中することにしましょう。
3周目からは、9時にスタートした「16kmの部」の選手の皆様もコース上に加わり、コースはますます荒れ、田んぼの中を走っているような感じになってきました。
走っても走っても、後ろから引っ張られるようで進まねぇ〜。
で、10kmも行かないところで、ついに私は完全にキレてしまいました。
もう、無理!歩く!
我がフルマラソン人生の中で、初のDNFが頭にちらついた瞬間でありました。
(※ 5km、9kmはエイドロスも含めたタイムです)
(つづく)