特に大きな問題もなく、望岳台から約2時間で十勝岳山頂に到達し、あとは下るだけという簡単なお仕事です。
とは言え、下りで山の経験値の低さが出てきますね。
ポールを使いながらすいすいと下っていく登山者を横目に、私は一歩一歩、とにかく転ばないことを最優先して慎重に降りていきます。
こんな岩だらけのところで転んだら、とんでもないことになってしまう。
ガレ場の急斜面を下るのはホントに怖いですなあ。
しかし、今考えてみると、まだこの部分は岩がちょうどよい「滑り止め」となっていて、マシだったかもしれん。
ゴツゴツした岩場を抜け、登山路は火山灰が目立つようになって、ちょっと歩きやすくなったかなと思いましたが、こっから足元が滑るようになり、かえっておっかなかったですね。
ついつい後ろ荷重になってしまい、そのままズルっと後ろに転倒し、その拍子に手のひらを打ちつけてしまいました。
「ああ、軍手はいてて(北海道弁)よかった」と思っていましたが、しばらくして、軍手から血が滲んでいることがわかり、「あー、やってしもーた」とガッカリすると共に、手のひらがズキズキ痛み出します。
これ、もし軍手はいてなかったら、エライことになっていたな。
本番レースでも、山岳パートの下り場面では、どんなに暑くてもきちんとグローブをつけようと固く心に誓ったのでありました。
転倒でただでさえビビリの私は、ますます臆病になってしまい、もう普通に真っ直ぐ歩くことはできず、身体を横にして、スキーでエッジを立てるように、シューズを角付けしながらカニのように横歩きしていました。
スノーボードで言えば「木の葉落とし」を延々と繰り返している感じでしたな。
トレランシューズのグリップ力だと限界があるのかな。
避難小屋を過ぎてどんどん下っていきますが、スリッピーで、私の技量ではとても走るのは無理。
ただ、ここまで来ると傾斜はかなりゆるくなってきたので、普通に歩くことはできるようになりました。
遠くに望岳台は見えてきたし、手のひらは痛むしで、とっとと下山したかったのだが、「十勝岳トレラン」のコースは、残念ながら一筋縄では行きません。
そうです、今日は単なる「登山」ではなく「トレランコースの下見」という名目で、ここまで5時間以上かけてやってきたのでした。
このまま下山することなく、「吹上温泉白銀荘」の方に向かいます。
こっからがとんでもないコースでした。
レースでは走行禁止で「歩行区間」となっている部分ですが、確かにこんなところ走れませんな。
もうここまで来ると、「マラソンレース」ではなく「障害物競走」の世界である。
まあ、この区間は花や自然を楽しみながら、のんびり歩くのが吉ですな。
コースのど真ん中に石碑があって歩きにくい。
この石碑をどかしたら、何かのたたりでもあるのかね。
一応、ガーミンにコースデータは入れていたのですが、吹上温泉からの登山道は、望岳台コースに比べるとマイナーで、コースがわかりにくかったですな。
途中コースロストして、無駄に崖の岩をトラバースしたりして、「俺は自然の中を走りたいだけだ。こんな登山家のような冒険をするつもりはないんだ」と、ちょっと絶望を感じました。
写真では伝わりにくいですが、唐突に川を渡ったり、崖のような急斜面を登ったりで、かなり面食らい、下見しといてよかったなと思いました。
レース本番では、どこまでコース誘導がしっかりなされるかはわかりませんが、ここはミスコース注意ポイントです。
かなりやられてしまった吹上温泉までの登山道でしたが、白銀荘が見えて、「ああ、ようやく生きて帰れるな」とホッとしました。
さっきも書いたように、吹上温泉ルートはマイナーな道なので、ずっとひとりぼっちで、こんなところで熊に遭遇したらどうしようと、人混みが大嫌いで、人口密度の少ないところを好む私も、さすがに心細くなりました。
ここまで来たら、あとは登ってきた山を見ながら、望岳台まで4kmぐらいロードを走る簡単なお仕事です。
一応、このロード区間も「十勝岳トレラン」コースに含まれています。
最後、望岳台に向かう激坂区間で歩いてしまいましたが、トータル5時間20分ぐらいかけて、無事振り出しに戻る。
軽い怪我はしましたが、大きな事故などなく、よかったのではないかと思います。
下っているときは、「あー、やっぱ俺トレイル向いてない」なんて思いながら歩いていましたが、時間が経って、撮った写真を眺めていると「あー、やっぱ来てよかったな。今度は美瑛岳との縦走をしたいなあ」と、すっかり山のとりこになっている私なのでありました。
下山後は、風呂とアイスを楽しみ、5時間以上運転し、慌ただしい平日の休暇は終わったのでありました。
ぶっちゃけ、山にいる5時間よりも、車の中にいる10時間の方がしんどかったでござる。
《十勝岳トレイルに向けてのまとめ》
・林道メインで山岳パートは短く、かつ急勾配もないので、ポールはなくてもOK
・山岳パートで走れるところは、私の体力や技術ではほとんどなさそう。望岳台〜避難小屋〜吹上温泉までは2時間ぐらいを見ておけばいいかな。
・下りでは転倒に備えてグローブをつけよう。
・吹上温泉ルートでのミスコースに注意。ガーミンにあらかじめコースデータは入れておこう。
・12%トレッドミルのおかげで、登りはそんなにキツく感じなかった。もうレースまで山に行くことはできないので、引き続き、地味にトレッドミルを使った「坂練」を継続していこう。
でなところです。
まあ、道マラ一週間前に、こんなニッチなレースに出られる方は少ないと思いますが、今回の記事が「十勝岳トレラン」に参加されるランナーの何らかのお役に立てれば、ありがたく思います。
さようなら。