言葉だけだと、どことなく響きがよく、湘南の海岸線のようなオシャレっぽい感じがする。
しかし、実態は「ただ海があるよ〜」ってだけの田舎道で、気が狂いそうになるぐらいアップダウンのある単調な道が延々と続きます。
当然、湘南の海のようにサーファーとか海の家とかそういうものは存在しない。
アップダウンが激しく、あんまり自転車で走るには向いていない「北太平洋シーサイドライン」なのであるが、今日は天気もよく、海を見ながら走るには最高だろうということで、久しぶりに自転車で走ってみることにしました。
過去の記録を見ると、5年ぶりになるのですな。
車では年に何回か通る道なので、もっとたくさん自転車でも走っているかと思ったが、意外とそうでもなかったようだ。
まずは釧路市街からえっちらおっちらと緩い坂を上って、郊外にある高山パーキングから釧路市街を見下ろします。
ここは釧路の夜景スポットでもあります。
で、「昆布森トンネル」を過ぎると、そこは昆布森の集落でした。
JR花咲線に「昆布盛」という「昆布森」と同じ読みの駅があるが、そことの関係は不明。
ちなみにここを走行している路線バスは一日一本で、しかも休日運休と、かなり秘境度の高い集落です。
「昆布森」という名の集落にふさわしく、昆布干し場になっている空き地があちこちにありましたね。
今は昆布シーズンじゃないので、写真の右上にちょこっと干されているだけだが、夏の昆布シーズンにはここも一面にずらっと昆布が干されているのだろう。
多分。
さて、昆布森の集落を過ぎてから、気が狂いそうな連続するアップダウンのある道になります。
とは言え、人間の記憶というのは辛いことはよく覚えているが、楽しいことラクなことは忘れてしまうものなので、ずっと上りっぱなしだったという印象しかありません。
あと、下りはあっという間に時間が過ぎるが、上りはその3〜4倍は時間がかかるっても、上りばっかという印象を植え付けたのかもしれません。
「また上りか!」と何回思ったことか。
きっと5年もここを自転車で走っていなかったのは、これが理由なのだろう。
それでも、こういう海の見えるワインディングロードをひとりで走っていると、「この風景独り占め」っていう贅沢な感じがしていいですね。
北海道の自転車乗りは、ここは一度は走って見る価値があると思います。
釧路市白樺台〜厚岸町尾幌までの40kmぐらい、ほぼ補給スポットがゼロなので、その辺は気をつける必要がありますが。
ここでハンガーノックにかかったら、結構絶望的な気分になると思います。
夏は霧ばっかりの「北太平洋シーサイドライン」ですが、この時期は晴れの日が多くていいですな。
ただ、「熊出没注意」の看板が何箇所かありましたので、ベルを鳴らしながら走行する必要があるかもしれません。
北海道の田舎道を自転車で走るのは楽しいが、熊リスクがあるのが難点ですな。
数年前にとある道内のサイクルイベントで、山に逃げていく熊を目撃したときは「くわばらくわばら」と思ったものでした。
「北太平洋シーサイドライン」は、別名「難読地名ロード」とも呼ばれ、「こんなん絶対読めんわ!」って地名のオンパレードです。
もうこれは「キラキラネーム」と同じで、きちんと読ませようとかそういう意図は全くないのだろう。
「分=ワカ」「瀬=セ」ってのはわかるけど、「チャラ」ってなんだよ?「チャラ」って。
てゆーか、「チャラ男」って言葉も最近すっかり死語になりましたね。
阿寒湖方面では、今が紅葉が見頃のようですが、ここはまだまだですな。
こんな坂だらけのところよりも、今日は阿寒湖に行くべきだったかもしれない。
難読地名もあれだが、カタカナ地名も「ここは日本か?」って気分になりますね。
ちなみに厚岸町には「ルークシュポール」という更に謎な地名があります。
国道44号線沿いの尾幌の集落に入って、ようやくコンビニを発見したので、補給食を買って、誰もいない駅でもしゃもしゃと食べます。
ここまで約50km、水以外は無補給だったので、菓子パンのうまさが身に沁みますな。
菓子パンとエナジードリンクだけでは補給食としては足りないので、ガツンと飯を腹に入れることにしよう。
「太厚食堂」というネーミングから、定食屋っぽい印象を受けますが、実態はのれん通りラーメンがメインの店です。
ガラス越しに、私の姿も写ってしまいましたね。
どうせなら、ここでしか食べられないような珍しいものを食べようということで「みそカツラーメン(1050円)」。
一見、濃厚な感じを受けるが、昔ながらの味噌ラーメンという感じで、意外とあっさりするすると行けました。
麺は釧路系の細麺ですな。
この手の味噌ラーメンは、札幌系の太麺の方が合うような気がするが、最近、私のラーメンの好みも変わり、太麺は「くどい」と感じるようになってきましたな。
釧路に来たころ、「こんなソーメンみたいな麺、ラーメンじゃないわ!」と受け入れられなかった釧路のあっさり細麺が、ちょうどいいと思うお年頃になってきました。
ごちそうさまでした。
味もさることながら、地元民に長年親しまれているような店内の空気がよかったですね。
チェーン店以外でひとりで外食をするのが苦手な私にとっては、一見入りにくい店ですが、孤独のグルメごっこにはよい店だったと思います。
今度来たときは「みそホルモンラーメン」を食べる。
残りは30kmぐらい、ひたすら殺風景な国道44号線を釧路方面に戻り、今日のサイクリングはおしまい。
44号線は、路肩が狭くガタガタで、サイクリングには不向きな道ですな。
とは言え、またあのアップダウンが連続する「北太平洋シーサイドライン」には戻りたくないので、つべこべ言わずに国道を走りました。
83km、獲得標高750mの道のりでした。
高低図を見ると、一見、三箇所の大きなアップダウンがいやらしく思うかもしれないが、今日のポイントはオレンジの丸で囲んだ「のこぎりの歯」のようになっているところ。
自転車乗りなら賛同してくれると思うが、単純にずーっと上ってずーっと下る峠道よりも、こういう「平らなところのない」道の方が嫌なものです。
マラソン練習で言えば、「インターバル走」を何本もやってる気分でしたね。
さてさて、晴れ気温17℃と、気候的には超快適な今日のサイクリングでありましたが、ウェアには「雪虫」がついていましたね。
北海道以外の方にとっては「雪虫?なんじゃそりゃ?」と思われるかもしれませんが、北海道でこの虫が見られると、それは「初雪が近づいている証拠」です。
北海道の自転車シーズンも、いよいよ終盤に入ってきましたな。
あと一回ぐらいは、どっか遠くに行ければなあとは思っています。
さようなら。