北海道は東の果て根室に、私の大好きなラーメン屋がある。
ここのラーメン屋は、観光ガイドとかに載っているようなメジャーな店ではない。
それゆえ、ありがたいことに、行列とは無縁であり、人混みが大嫌いな私にとっては、神のようなラーメン屋なのであった。
ちなみにこの店は、去年も一昨年も行っている。
なぜか年に一回だけ無性に行きたくなる、不思議な魔力を持つラーメン屋なのである。
一昨年、去年行ったときの記事はこちら。
ここのラーメン屋の特徴は、「ライスを頼むとアホみたいな量のおかずがセットになってついてくる」というところだ。
んなわけで、腹をすかせた状態で食べることが何よりも肝要であり、一昨年は47kmランニングした後に、去年は16インチの折りたたみ自転車を漕いで、80kmサイクリングした後に訪れたのであった。
当然、今年も疲れることをしてから、力の限りラーメンライスを堪能しようということで、釧路の自宅から、約120km離れた根室まで、ロードバイクで行くことにしようではないか!
アホですねえ。
根室までは国道44号線をひたすら東に行くだけであり、道のりは単純だ。
牡蠣で有名な町、厚岸町を通ります。
そんで、ルパン三世の作者「モンキー・パンチ先生」の故郷である浜中町を通って。
「さいはての街」根室に到達します。
とは言え、本日の目的地は、このカントリーサインが見えてから、さらに35kmぐらい進んだところにあるので、ひーこら言いながらペダルを回します。
北海道はホントに広いのである。
途中、セブンイレブンで補給休憩を挟み
道の駅「スワン44ねむろ」に寄ります。
道の駅の裏には、「白鳥の風蓮湖」があり、毎年10月中旬には大量のオオハクチョウがやってくるということであるが
残念ながら、遠くに小さく見ることしかできなかった。
ズームをかけても、私のしょぼいスマホカメラでは、こんくらいが限界だ。
湖畔では、白鳥に命をかけたような猛者の人たちが、高そうな一眼レフカメラを持ってパシャパシャしていた。
あんまり白鳥にも写真にも興味のない私であるが、もうちょっといいカメラが欲しいなあと、少しだけ思ってしまった。
さようなら風蓮湖。
私の今日の目当ては、白鳥でなくてラーメンライスなので、これでよい。
根室市街に入ってから、うねうねとしたアップダウンに苦しめられたが、どうにか家から6時間以上かけて、根室駅に到着。
ここまで122kmのサイクリングであった。
これでうまいラーメンライスが食えるというものだ。
入店。
14時過ぎとお昼どきを外していることもあり、店内はいい感じのガラガラ具合だ。
メニューを見ると、前来たときよりも微妙に値上げしている。
円安などによる物価高の影響が、こんな北海道の果てのようなところにも波及しているのだなあ。
とりあえず、味噌辛坦々(950円)と小ライス(300円)を注文することにしよう。
あと食い放題のいかの塩辛とタコわさも(100円)。
まずはライスがやってきます。
これは焼き魚定食ではありません。
れっきとした「ライス」なのです。
なんとライスを注文しただけで、おかずまでもついてくる。
もうラーメンなんか頼まんで、ライスだけ頼んでもいいんじゃないかって勢いであるが、ここは一人で来たときは「ライス単品の注文は禁止」というルールになっています。
そしてラーメンがやってきます。
昔ながらの札幌ラーメンって感じで、ほどよくこってりした辛味噌味に太麺がからんでちょうどよい。
そして食べ放題の塩辛とタコわさもやってきます。
今回は塩辛とタコわさに加え、昆布やホヤもあり、これが100円で食い放題なのかと思うと目頭が熱くなってくる。
ただ、去年まではこれらも「無料サービス」だったんだがなあ。
まあ、これも世の中の流れだ。仕方がない。
かくして、私は「日本一豪華なラーメンライス」を、思う存分堪能するのであった。
あー、幸せ、幸せ。
私は日本一の幸せ者だ。
店のおばちゃんが話しかけてきます。
お:「今日はバイクで来たの?」
私:「いいえ、自転車です」
お:「どっから?」
私:「釧路から」
お:「何時間かかったの?」
私:「6時間ぐらい」
お:「アホだねえwwww」
おばちゃん最高!!!
私のような人間には「変態」や「アホ」が「最高の褒め言葉」であるということをよく理解されていらっしゃる。
「もう、今日はうちに泊まっていきなさいよ」なんてお言葉もいただいて、腹も心もすっかり満たされた私なのであった。
んで、一心不乱にラーメンライスを食っていると、再びおばちゃんが現れ、「これも食べなさい」と。
「ホッケ」と「こまい」登場!!
もう何も言うことはありません。
ラーメンライスは、「ラーメンが主役でライスは脇役」であるという概念をくつがえす、革命的なライスのサービスなのであった。
ここのラーメンライスは、「ライスが主役でラーメンは味噌汁的存在」と言ってもいいですな。
300円という小ライスの値段が、タダみたいに感じるのであった。
と言うか、これで元は取れているのだろうか。
あまりにおかずが多すぎて、ライスの量が少なく感じる。
とは言え、ラーメンも食っているので、腹はパッツンパッツンで悩ましいところだ。
こういうとき、酒が飲めたらビールを頼んで、ホッケやこまいを酒の肴にできるんだけどなあ。
つくづく下戸は損だなあと思ってしまう。
腹が苦しくなりながらも、どうにか完食。
ごちそうさまでした。
あ、店名の紹介を忘れていたが「駅前札幌ラーメン」です。
「根室なのに札幌ラーメン?」と思うかもしれないが、ライスについてくるおかずに根室の力を感じずにはいられない。
また、来年も必ず腹をすかせてから来ることにしよう。
今度は釧路からランニングでやって来ようかなどと、超変態チックなことを50%ぐらいは本気で考えている私です。
自転車をバラして輪行袋に入れ、花咲線の一両編成ディーゼル気動車で帰ります。
花咲線は車窓の景色が日本とは思えないぐらいに美しいのであるが、もう日が短くなって、半分以上は暗闇の運行だったのがちょっと残念でしたな。
それでも、途中「鹿との衝突」という花咲線らしいイベントが2回あり、道外から来られた鉄道マニアの方も満足されたのではないでしょうか。
おかげで列車は15分遅れてしまいましたが。
貴重な休日。
普通に車で根室まで行って、ラーメンライスを食べて、そのまま車で帰れば、もっと効率よく時間が使えるのだが、あえてそれをしないで「不便で時間がかかる手段」を取ることによって、休日というものは、より豊かで思い出深いものになるのである。
知らんけど。
さようなら。