3月に「一山麻緒選手の走りを参考にしてみる」というタイトルで記事を書いてみました。
このときは3つのポイントとして
1.着地時に膝が十分に曲がっている
2.後ろ脚がピーンと伸びていない
3.足首の角度は90度をキープ
と、下半身の部分に注目してみましたが、今回は上半身(特に腕振り)の動きに注目したいと思います。
ところで、よくランニング本なんかで
「腕振りのとき、肘をしっかり後ろに引いて、腕を前後に振るのがよいフォーム」
と書かれていますが、これって本当なのかなあと、私はずっと疑問に思ってきました。
私の場合、肘を後ろに引く意識で腕を前後に振ると上半身がぶれてうまく走れず、どっちかと言えば「横振り」の意識で走っていました。
では、ここで一山麻緒選手の動画で腕振りの動作に注目してみましょう。
(ちなみに私は0.25倍速にして、何十回もこの動画を見ています。私は速い人のフォームを研究することは実際に走ることと同じぐらいに大事だと思っています)
一山麻緒選手のランニングフォーム (スロー付) MGC女子 41km地点
一山選手は腕を前後に振って走っているでしょうか?
むしろ「横振り」なんじゃないかというような気がします。
でもって、同じ側の骨盤と肩甲骨が交互に前に出て、左右の斜め姿勢を繰り返しながら走っていることがわかると思います。
横から見たこの動画の方が「左右の斜め姿勢を繰り返している」ということがわかるんじゃないかと思います。
もし、上半身が完全に真っ直ぐでぶれない走りだったら、ゼッケンの見える角度は変わらないはずです。
では、ここで動画の中で、ここがポイントなんじゃないかなあと思うところをまとめていきたいと思います。
《ポイント1》 腕を後ろに振るときは手のひらが前、前に振るときは手の甲が前
上の写真で、後ろにスイングしている右側の手のひらが前を向いていて、反対側の左側は手の甲が前を向いています。
ただ、手のひらの向きだけを意識するのではなくて、重要なことは「腕をねじることによって、手のひらの方向が結果的に前後する」ということです。
・腕を後ろにスイングするときは、外旋方向にねじる。(結果手のひらが前を向く)
・腕を前にスイングするときは、内旋方向にねじる。(結果手の甲が前を向く)
動画で「肘から先をチョコチョコ振っているのではなく、上腕骨からしっかりと腕全体がねじられている」ことをチェックしてみてください。
腕振りは前後運動ではなく、内旋外旋の動きだと思います。
《ポイント2》 上半身より前に肘が出ない
腕を前に振るときでも、肘は体の前には出ていません。
上半身に壁を作って、そっから先に肘を出さないようにしています。
肘が前に出てしまうと、上半身が大きく振られ、エネルギーのロスとなります。
《ポイント3》 左右の肩甲骨を寄せない
ランニング本なんかでは「肩甲骨を左右に寄せるのがよいフォーム」と書かれていますが、一山選手の走りを見ると、肩甲骨を左右に寄せている場面はなく、両方の肩甲骨が、体のねじれる方向と一緒に動いています。
というか肩甲骨が寄っていて固まっていると、《ポイント1》の内旋外旋の動きなどできるわけがなく、しっかりと上肢帯から腕を振ることを意識すれば、自然と肩甲骨が左右に寄っていくこともなくなっていくと思います。
などと、ここまでエラソーに能書きを垂れてきましたが、これらの考えは私のオリジナルなわけではもちろんなく、以下の2冊の本の受け売りです。
もう私もいい年をしたおっさんです。
若いときのように「闇雲に数をこなせばできるようになる」という時代はとうの昔に終わりました。
我々アラフィフ世代になると、「頭で理解して、動作を実践して、それが正しいのかどうか確認する」というプロセスが大事になってくるのではないかと思います。
若くて活気あふれる体育会系とは違った、地味な大人の文化系ランニングスタイルを追求していきたいものです。
ここまでご清聴ありがとうございました。
さようなら。