マラソン大会の写真と言えば「オールスポーツ」の公式写真販売サービス。
コロナ禍前は、あちこちの撮影スポットでパシャパシャと10枚も20枚も撮られていたような気がするが、今回は撮影スポットが3箇所しかなかったのですね。
「あんだけ苦労して走って、まともに写っている写真は3枚ぐらいしかないのか」と、ちょっとガッカリしましたが、まあ撮影してもらえるだけでありがたいと思いましょう。
今回は自分で撮影した写真はないので、オールスポーツと、ラン仲間が撮影してくれた写真を載せながら、レースを振り返りたいと思います。
マラソン大会では、スタート前にみんなで集まってワイワイするのがちょっとした楽しみであったりするのですが、今回は「感染予防」を徹底したため、早い時間帯に受付を済ませ、ひたすら誰とも会わずに車の中でじーっとしておりました。
恐らく道マラでも、時間ギリギリに来て、スタート直前にしれっと最後尾に滑り込む形になるんじゃないかな。
スタート直前になって、「キレンジャースタイル」に変身して、最後尾に潜り込みます。
今回はゲストランナーの川内優輝選手も最後尾スタートということで、写真を求めるファンの方がそこそこいましたね。
んで、いつも通り、カウントダウンとか特に盛り上がるイベントもなく、さりげなく「パァン」と乾いたピストルの音が鳴ってレースが始まります。
スタート地点では「仮装ラン仲間」で、ジャック・スパロウの仮装で有名なたいがぁさんが写真を撮ってくださいました。
たいがぁさんは残念ながら、今回は故障でDNSでしたが、道マラではあの完璧なジャック・スパロウの気合の入った仮装を見たいものです。
いつもはこういう写真では本名バレするのが嫌なんで、ゼッケンの番号は消すんですが、今回はゼッケン番号が「541(ごっしい)」と、正に私にピッタリの番号だったので、あえて消さずに残しておきました。
車のナンバーみたいに、ゼッケンナンバーも選べるようにならんものかね。
それで参加費が2万も3万も上がるんだったら、お断りするが。
さて、「熱中症に注意!」のフリップを掲げながら、まずは市街地を走っていきます。
沿道の応援があると、「ああ、マラソン大会ができる世界が戻ってきた」と、嬉しさもひとしおですね。
「あんたも熱中症に気をつけなさいよ!」と、お約束のツッコミをもらいながら、ニタニタと最初の5㎞を走っておりました。
ペースはガーミン全然見てなかったのであれですが、あとで振り返るとキロ6分半ぐらいでしたね。
ちょい気温は高いが、市街地を走っていたころは空に雲がかかっていて、南からの風も涼しく感じ、「これならどうにか30㎞走れるな」と、甘っちょろいことを考えていました。
コースは5㎞を過ぎてから、市街地を抜け、新釧路川の河川敷に入り、そっから「5㎞の直線」が続く「湿原横断道路」に入ります。
湿原横断道路に入ってから、雲が消え、日差しが燦々と輝き、これはちょっとキツイかなと感じ始めましたね。
さすがにこのコンディションで無補給はマズイので、10㎞の給水で、頭のファスナーを開け、人間の姿になって水を飲みます。
正直、このまま人間の姿のままでずっと走っていたい気持ちもちょっとあったが、水を飲んだら速やかにマスクを被って、正義のヒーローに戻るのだ。
湿原横断道路はスライド区間ということで、正義の味方「キレンジャー」は、「Nice Run!」のフリップを掲げて、折り返してきたランナーを応援します。
川内選手が私を見て、クスッと笑って下さって満足満足なのでありました。
ちなみに、私は今は亡き「オホーツクサイクリング」というイベントで、リラックマの着ぐるみを着て走り、来賓の橋本聖子さんに笑われた輝かしい過去を持っています。
折り返し地点でのボランティア女子高生の元気よい声援が嬉しかったですね。
ユニフォームのネームを見て「ごっしー!ごーしー!」と、普段は絶対に浴びることのない黄色い声援を浴びて、うへーうへーと鼻の下を伸ばしながら走っておりました。
さて、折り返しまでは「暑いけどなんとかなるか」ぐらいに思っていましたが、こっからちょっとヤバいと感じ出します。
「給水は10㎞おきでいいかな」などと甘っちょろいことを考えていましたが、こりゃダメだと、17.5㎞のエイドで2度目の給水。
ここでも女子高生の給水ボランティアの方は元気いっぱいで、私を見て「あー、ウルトラマンだ!ウルトラマン!」と声をかけて下さいました。
いや、私はウルトラマンではないのだが、まあ似たようなカテゴリーなんでいいだろう。
つーか、今の女子高生は「ゴレンジャー」なんて知らんだろうし。
給水で復活するかなあと思ったが、一旦下がった調子はひたすら下降線をたどります。
20㎞地点でまた給水。
んで、給食のバナナも食べます。
もぐもぐもぐ。
ごちそうさまでした。
ここでフリップと手袋を「邪魔だ!」と、紙コップと一緒にゴミ箱に捨てました。
スケッチブック持ちながら走るのは、意外と邪魔で走りにくいものです。
道マラでは別の手段を考えることにしよう。
身軽になって走りやすくなったかなと思ったが、頭がゆでダコのように暑い。
キロ6分半ペースなのに、ガーミン見たら心拍数が160以上に上がっている(普段はこんくらいのペースなら心拍数120ぐらい)。
くーっ、これはやってられん。
このままリタイアするのは別にいいんだが、医務室に運ばれたり、救急車を呼んだりして、人様に迷惑をかけることだけは絶っっっ対に避けなければならない。
んなわけで、もう仮装に対するこだわりは捨て、キレンジャーマスクを外し、人間の姿になりました。
とは言え、ここで後ろめたさを感じてはいけない。
市街地に戻り、「あー、キレンジャーの人だ!」と声をかけられても恥じることなく、堂々と「応援ありがとう!」と返す私なのでありました。
当初は終始無言を貫こうと思っていましたが、もうここまで来たらどうでもよい。
素直に感謝の気持ちを言葉で表現しよう。
22㎞過ぎで歩き出し、ますますヤバいかなと思いましたが、心拍数が下がって落ち着いてからは復活して、また走れるようになりました。
25㎞のエイドでスポドリをもらったが、500mlのペットボトルごと渡されたのね。
恐るべし、感染症対策。
とても500mlのスポドリを片手に飲みながら走ることなんかできんので、ここはゆっくり歩きながらペットボトルを空にすることにします。
市街地を走っているときは、クソ暑いながらも沿道の応援にこたえる余裕がありましたが、運動公園に入って応援がなくなり、一気に表情に余裕がなくなりました。
応援がなくなると、人間というのは弱くなるものだ。
こういう応援がなくなって、油断しているところに「オールスポーツ」のカメラマンが構えていたのでしたね。
とても人様にはお見せできないような表情で、死にそうになりながら走っていました。
ここは今回の最大の反省点ですな。
いついかなるときでも口角を上げて、笑顔で走るべし。
色々不本意な走りではありましたが、最後の陸上競技場だけは「キレンジャーマスク」を被ってガチで走ろう。
競技場に走ってから、「負けないぞ!」と知らないおっさんに絡まれ、意味もなくキロ4分ぐらいのペースで走っていました。
ゲレに近いところで、2人のおっさんの無意味な争いが繰り広げられていたのでした。
しかし、こうして改めて写真を見ると、ワシ、「フォアフット走法」のつもりで走っていたのに、思いっきり「ヒールストライク」ですね。
まあ、別にいいか。
「黄色いコスチュームの方がやってきました!」という場内アナウンスと共に、全力でトラックを走り、無事ゴール。
ふー、熱中症にならんでゴールできてホッとしたわ。
「仮装マラソン」
それは普段冴えない人生を送っている人間が、脚光を浴び、輝ける瞬間。
この一日の輝ける時間があるからこそ、日々、しんどい走り込みを続けることができるのである。
大会当日は、本当の多くの皆様の応援ありがとうございました。
また、次の「仮装マラソン」まで、私は普通の冴えないランナーに戻ります。
尚、「キレンジャー」はファスナーを開け締めを繰り返しているうちに、ファスナーがぶっ壊れ、使い物にならなくなり、今回が引退レースになりました。
お疲れ、ドンキで買ったキレンジャーコスチューム。
ここまでご清聴ありがとうございました。
さようなら。