私の好きな作家さんで、「京大卒の元ニート」pha(ファ)さんがいます。
phaさんの力の抜けたモノの考え方や、ライフスタイルが好きで、phaさんの本は大体読んでいるのですが、特にお気に入りの本は以下の一冊です。
私は旅行は好きな方であると思うが、リゾート地とか人気テーマパークとかそういうのにはあんまり興味がなく、phaさんの本に出てくるような「高速バスや普通列車に何時間も揺られる旅」とか「サウナやカプセルホテルを求める旅」とか、そういう「安っぽい旅」が好きだ。
しかし、そういう「安っぽい旅」は世間一般的にはあまり好まれていないようで、基本、私は興味の方向が違う人と旅行することができない。
特に女性はサウナやネットカフェよりも、ディズニーランドとかハワイとかそういうところの方が好きなようで、私が女性と二人きりで心を通わせるような旅ができる機会はおそらく未来永劫ないであろう。
そんな自虐ネタはおいといて、私が上記の本の中で一番好きなエピソードは「一人で意味もなくビジネスホテルに泊まるのが好きだ」の部分である。
この部分はネット記事にも出ているので、興味のある人は是非読んで欲しい。
コロナ前はそれなりに週末になるとあちこち行っていたが、ここ2年、なかなか遠くに行く機会がなくなってきた。
あと、私の仕事は月の半分が夜間休日の待機番に当たり、休みの日の行動範囲が制限される。
特に冬になると、コロナや待機番に加え、私は雪道の運転が苦手なこともあり、ほぼ釧路市内にとどまる日々が続き、私の「どっか行きたいよぉ欲」は溜まりに溜まり、ストレスがマックスになっていた。
そこでphaさんの本に出てきた「意味もなくビジネスホテルに泊まり」旅気分を味わおうという作戦に出たのであった。
phaさんは日曜に泊まることを勧めていたが、確かにネットで調べてみると、日曜の宿泊料金は他の曜日に比べ安い。
5000円ぐらいで泊まれることをテキトーに選んで、私は日曜の昼にホテルを目指してテクテク歩いたのであった。
さて、歩いて20分ぐらいでホテルに到着したのはいいが、これくらいの移動距離だと全く旅行気分は出ない。
いつもホテルに着いたとき感じるような「はぁ、ようやく着いたぜ!」というテンションの高まりはなく、こんないつも見慣れたところにわざわざ泊まるなんて、私はバカなんじゃないだろうかという後ろめたい気分だった。
バカでもなんでもいいから、とりあえずチェックインしよう。
部屋のカギを開けると、狭い空間にベッドが半分ぐらい占領されている「This is ビジネスホテルシングルルーム」って感じで、ちょっとテンションが上った。
私は広すぎる部屋よりも、ちょっと狭いぐらいのところが落ち着くのである。
なんとなくベッドで横になり、テレビで野球中継を見ながらウダウダしていた。
こんなことは自分のアパートでもできるじゃないかって意見もあると思うが、場所を変えてゴロゴロしながらテレビを見るのも、なんかいつもと違うことをしているようで、よい気分転換になる。
このブログは女性読者もいるので、詳細は書かないが、盛り上がった気分で「大人の社会勉強」をした。
すすきのの大手チェーンはフリーでもそこそこ満足できることが多かったが、地方の出前店はきちんと指名しないとドラえもんが登場するということを学んだ。
つーか、金返せ。
上がりかけたテンションがだだ下がりになり、釧路川周辺を徘徊。
当たり前だが、全く旅に出た気分がしない。
いつも見ている風景がライトアップされているだけである。
これで私が酒でも飲めると繁華街を楽しめるのだが、下戸の私は、一人で飲み屋に行くという習慣が全くなく、面倒なのでテキトーにコンビニで食料を調達。
豪勢にピザの出前でも取ればよかったかな。
(実生活でピザの出前など、一度も取ったことはない)
部屋でサンドイッチとかカラムーチョとか、なんでこんなもんわざわざホテルの部屋でひとり食ってんだってものを食ってから、ラウンジに行って、無料サービスで出てくる「鹿肉カレー」を食べる。
ただならいいけど、金を払ってまで食いたいかどうかはビミョー。
ごちそうさまでした。
ホテルの部屋はWifiの電波がめちゃくちゃ弱く、かなりストレスの溜まるネット環境だったので、図書館で借りた本を黙々と読む。
あれですな、家ではネットばっかりしている私も、たまにはデジタル断ちをするときが必要ですな。
じっくり本を読む時間ができて、むしろクソWifiに感謝したい気持ちですらある。
今も浮世離れした「半隠遁生活」を送っている私であるが、良寛さんのような生き方には憧れるなあ。
あんなボロ家には住みたくないけど。
さて、寝るかと思ったが、ここで私は自分の持つ重大な弱点に気づいた。
私は枕が変わると眠れない
ということを。
普段の旅行のときは、どーせ次の日は休みだから眠れようが眠れなかろうがどーでもいいのだが、次の日普通に仕事を控えている身にとっては、ここで眠れないのは痛い。
ビジネスホテルの布団って、妙に暑くて熟睡できんと思うのは私だけですか?
あまり眠れないまま、5時起床。
一応ランナーだから、「旅ラン」をしないとな。
いつも走っているところで「旅ラン」ってのも変だが。
釧路は夕日で有名な街で、夕暮れ時には、夕日スポット「幣舞橋(ぬさまいばし)」に、カメラを持った人がずらっと集まるのだが、私は人が誰もいない時間帯で朝日を見る方が好きだ。
今日はたまたま晴れていたが、これから初夏の季節の濃い霧につつまれた早朝の釧路川も趣があって良い。
夏の時期の釧路の旅行者は、是非早起きして、午前4時ぐらいの霧に包まれた世界を味わってほしいなあと思う。
なんか意味もなくビジネスホテルに泊まるのも、あんまり面白くないんじゃないかと思っていたが、さすがの私も朝食にテンションが一気に上った。
海鮮丼キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
私は普段朝飯を食わないくせに、ホテルの朝食バイキングが大好きだ。
和洋ごっちゃまぜで、節操のないところが好きだ。
普通のバイキングでも満足なのに、海鮮丼まで出てくるとは。
これで素泊まりプランと比べて800円の差額というのは、出血大サービスなのではないか。
朝から元気モリモリで、これは月曜の朝でも「よーし、今日も頑張って働くぞー」という気分になるというものだ。
ま、色々あったけど、こうして「地元のビジネスホテルに意味もなく泊まる」という経験も悪くなかったのではないかと思います。
《まとめ》
・私が旅に求めるのは「移動」であり「ホテル」ではないということがわかった。
・大浴場がないホテルを選んだのは失敗だった。
・私がホテル泊で一番好きな時間は「朝食バイキング」ということがわかった。
こうして、意味もなくひとりでビジネスホテルに泊まることにより、私が旅に何を求めているのかが、ちょっとわかったような気がする。
多分、私はホテルに泊まるよりも、テキトーに路線バスやローカル線に乗って、文庫本片手に移動をして、おっきい風呂に入って、ホテルのランチバイキングで飯を食った方が満足度が高いんだろうなあ。
次は近場で、「乗り物」「風呂」「バイキング」の3つを満たす旅をやってみようと思います。
「大人の社会勉強」は、なしの方向で。
(どうしてもやりたかったらすすきのへ行こう)
さようなら。